【実食レビュー】採れたての春を食べる。タラの芽、こごみ、コシアブラ。敬遠していた山菜料理は、実はとっても簡単でした
春が来ると、うちの近所のスーパーにも山菜が少し並びます。旬を楽しむっていいなぁ、と思いながらも、触ったことのない食材をなかなかカゴに入れることができず、「山菜は外で食べるもの」と割り切っていました。
今回、信州から採れたてが届いたので、調べながら料理をしてみたら、想像していたよりもはるかに簡単! 今まで敬遠していたことがもったいなく感じるほどでした。こんなに手軽に春を楽しめるなら、食べなくっちゃもったいない。山菜にビビっていた私から、初心者でも簡単に扱える山菜の種類とおいしい食べ方を交えて実食レポートします。
▼こんな方におすすめ▼
- 山菜は下処理が面倒くさそう
- どう料理したらいいのかわからない
- 山菜を食べたことがない
食卓で春を感じて、とってもハッピーな気持ちになりましたよ〜。
透明パックいっぱいの山菜が届きました
たくさんの山菜の送り元は「信州なかの北原農園」。
長野県の北部、山々に囲まれた標高450mの高地でくだものを栽培している農園です。りんごやぶどうを中心に、桃、梨、杏など十種類以上を育てています。山菜はまわりの山で採れるそう。
今回、透明パックにパンパンの山菜が4パックとアスパラの束が届きました。
山菜は3種類。タラの芽、こごみ、コシアブラです。見たことがあるのは、タラの芽だけ。
山菜に馴染みがないので、どれがどれだか見分けがつかないのですが、それぞれに名前を書いてくれていたので助かりました。
アクの少ないビギナー向け山菜3種
山菜は灰を入れて長時間ゆでたり一晩おいたりしてアクを抜かないと食べられないもの、と思っていました。ところが、そこまでの手間がかかるのは、わらびやゼンマイなど一部で、今回の3種類は軽く下ゆですればOK!なんと!
コシアブラ
THE・新芽という見た目。薄緑の柔らかい葉っぱが茎の先に数枚ついています。この名前からギトギトな姿を想像していたのですが、実際はさわやかでかわいい。昔々にこの木から油を絞って塗料にしていたことが名前の由来だそうです。ちょっとかわいそうですね…。まぁ、「山菜の女王」という通り名もあるようなので、いいか。3種類の中で最も香りがいいです。
こごみ
クルクルと先端が渦を巻いていて、映画『ジュラシックパーク』に出てくる古代植物みたいな形をしています。調べるとやはり、シダ植物。地球に初めて誕生した植物はシダ類ですから、今から、こごみを食べるというのは感慨深いものがあります。ためしにクルクル部分をほどこうとしてみましたが、かなりしっかり巻き込まれていました。
タラの芽
「山菜の王様」として名高いタラの芽。料理前の姿を触るのは初めてです。芽というから小さいのだと思っていたら案外大きい、ミョウガよりも大きい。そして表面がトゲトゲしています。タラの芽は、トゲのある男タラ(オダラ)とトゲの少ない女タラ(メダラ)があり、山に自生しているものはオダラで、ハウス栽培に多いのはメダラだそう。これは触るとちょっと痛いので、山のオダラに間違いないです。
かたちが全然違う3種類の植物の芽。山からようこそ、いらっしゃいました。
楽チンな下ごしらえの方法
では、早速、準備に入りましょう。
- (1)ハカマをとる
タラの芽とコシアブラには、根元にハカマがついています。硬いので包丁でぺろんと剥きます。切り口の変色しているところも、ついでにカットします。
- (2)水洗いする
ボウルに水を張って、チャプチャプと手短に洗います。こごみは巻き込んでいるところも優しく伸ばして洗ってあげます。天ぷらで食べる場合は、これで準備終了。水気を切って、揚げてOKです。おひたしや和え物にする場合は、下ゆでをします。
- (3)下ゆでをする
水に対して塩を2%ほど入れ(水1リットルで塩20g)、沸騰させます。そこに山菜を適量入れます。40秒茹でたら、ザルにあけます。
鮮やかな色に仕上げたい場合は、氷水に入れます。
私は氷水ではなく、竹ざるにおか上げ(自然に冷ます)しました。色もきれいなままだったし、勝手に水分も蒸発してくれて楽チンでした。
山菜の味は、どんな味?
下ゆでしたものを、そのまま食べてみました。
まずは、おなじみのタラの芽から。食感は柔らかい。野菜にはない、モムモムとした食感。他の食べものでこの歯触りを例えるなら、きのこ類が近いかもしれない。味は隠れたほろ苦さがあって、新鮮な季節の味を感じます。「苦味」は味覚が発達してようやく良さがわかる味(子どもは味を感じる味蕾が未発達のため、苦味が嫌い)なので、これを楽しめている自分は大人になったのねぇ、としみじみします。ほろ苦さを持つ食材って少ないので、貴重です。
次は、かたちが気になるこごみを。シャクシャクの歯触りが楽しくて、味は少しアスパラにも似ています。苦味はまったくありません。後味がほんのり山菜の香り。フレッシュな若い芽を食べている山の感じがします。これは、他のもので例えられないですね…。
最後に、未開の領域であるコシアブラを。爽やかなセリのような香りが広がってきて、食べる前から存在感があります。細い茎は歯応えがあり、がぶっと口に入れると、まるでハーブガーデンにいるかのような香りの嵐。見た目は小さな葉の集まりなので、弱そうに見えるのですが、すさまじい影響力です。山椒や三つ葉などの薬味が好きな人は絶対好きでしょうね。
保存したい場合は、下茹でしたものを冷凍保存してください。香りや食感を最大限に楽しむコツは新鮮なうちに食べることなので、できれば早めに食べることをオススメします。
ではでは、早速、料理開始〜!
レシピ「採れたて山菜3種の天ぷら」
下処理の(2)までやった山菜を、揚げていきます。
天ぷら粉を用意します。
<材料>
・薄力粉 大さじ3
・水 大さじ2.5
・氷 1個
・お酢 小さじ1/2
氷を入れるのは、天ぷら粉を冷やすとサクサクに仕上がるから。薄力粉と水分は1:1くらいで適当に調整して、気楽にやります。
少量の油でいいように、面積の小さなスキレットに入れて、180度に熱します。天ぷら粉を垂らして、ジュワッと音がしたらOK。山菜を天ぷら粉にくぐらせて、ちょっとボウルの上で降って余分な液を落としたら、油の中へ。片面30秒くらい揚げて、ひっくり返して30秒。天ぷら粉が固まって、色がちょっとついたら、引き揚げます。余熱でも熱が入るので、長くはあげません。
お皿に持って、お塩を持って、完成です。
お、おいしい〜!
ふきのとうの食感はホクホクに変わり、ほろ苦さがおいしい。こごみは独自の食感と衣のサクサクとが相まっておいしい。コシアブラは揚げても変わらない香りがおいしい。
三者三様のおいしさが楽しめる天ぷらです。
レシピ「こごみと河内晩柑のマリネ」
味にクセがなく、食感のいいこごみを使って、春のくだものとマリネにしました。
くだものは南部の暖かいエリアで春にとれる柑橘の河内晩柑(かわちばんかん)。
グレープフルーツに似ていますが、苦味がなく、さわやかな甘さが特徴です。
<材料>
・下ゆでしたこごみ ひとつかみ
・河内晩柑 1個
・MCTオイル 大さじ1(オリーブオイルやナッツオイルでもOK)
・塩 少々
河内晩柑の皮を剥いて、実だけ取り出します。カットの仕方はこちらをご参考にしてください。紹介されている方法のうち、2つ目の方法で私はカットしています。
オレンジの切り方の基本|樋口直哉(TravelingFoodLab.)|note
包丁で柑橘の実を取り出せるようになると料理にも使いやすく、マスターすることをオススメします。
カットしていると、まな板に果汁がたまりますので、捨てずにボウルに入れてください。実を取り出した後の皮も、果汁が残っていたら軽く絞ってボウルに入れます。皮は苦いので絞らないように。そこに、オイルと塩を入れて、泡立て器でチャチャチャと混ぜて、とろりとさせたら、マリネ液は完成。一口大にカットした河内晩柑の実とこごみも入れて、軽く混ぜたら、出できあがり!
冷蔵庫で1日おくと、味がなじんでおいしいです。
レシピ「焼き豚と山菜のタルティーヌ」
マリネが好きなので、「焼豚と山菜のタルティーヌ」も作りました。これまた、簡単。タルティーヌはフランス式のオープンサンドのことです。
<材料>
・下ゆでした山菜 ひとつかみ
・焼豚 4枚(牛でも鳥でも照り焼き風な味付けならOK)
・カンパーニュ 1枚(2センチほどの厚さ)
・お酢 大さじ1
・MCTオイル 大さじ1(オリーブオイルやナッツオイルでもOK)
・塩 少々
・柑橘の果汁 少々(オレンジジュースやレモン汁でも)
・バターと粒マスタード 少々
ボウルにお酢とオイルと塩を入れて、泡立て器でチャチャチャと混ぜ、とろりとさせます。そこに茹でた山菜を入れて和えます。焼き豚を柑橘の果汁にくぐらせてから、トースターで2分ほど焼きます。香ばしい焼き色が付いたら、GOOD。今回、焼き豚は購入したものを使いました。自分で作ってもいいし、豚肉じゃなくても、甘辛の照り焼き味ならなんでも合います。
カンパーニュを2センチくらいの厚みに切って、焼く前に水分を補います。手に水をつけて、パンをなでるようにする。これが、とっても大事。水分がないまま焼くと、ハード系のパンは、どんどん硬くなってしまいますから。パリッと、もちっと焼くには、水分がキモなのです。カルディ がなければ、バゲットでもコンプレでも、もう食パンでもいいです。
焼いたらバターを塗って、粒マスタードを塗って、焼き豚をのせて、和えた山菜をどっさりと。
果てしなく、うまいです。甘辛のお肉とほろ苦い山菜がめちゃくちゃ合います。ふんわり柑橘も爽やかでいい感じ。
この取り合わせ、最高でした。お肉と山菜のサンドイッチがあったら、迷いなく買うなぁ。
レシピ「コシアブラの混ぜごはん」
コシアブラの香りをもっと堪能するために、混ぜごはんにしました。
<材料>
・下ゆでしたコシアブラ ひとつかみ
・ごま油 少々
・塩 少々
・炊き立てのごはん
下ゆでしたコシアブラをざく切りにします。ごま油と塩を合わせて、「自家製・山菜炊き込みごはんの素」を作ります。ごはんと一緒に炊き込まないのは、色が悪くなり、香りが飛ぶのを防ぐためです。長時間加熱すると、風味を損ねてしまうから。
炊き上がったごはんにコシアブラミックスを入れて、さっくり混ぜ合わせたら、完成!
おおおお、おいし〜イ!
予想どおり、香りが抜群にいいです。これは、ずっと食べられてしまう。こんなにもあっという間にごはんをグレードアップできてしまうなんて、山菜の威力恐るべしです。
簡単でめちゃくちゃおいしいので、これは本当にオススメ。
レシピ「アスパラの一本焼き」
山菜とともに届いたアスパラの束。到着した当日に、トースターで一本焼きにして食べました。写真を撮るのを忘れて、無心で食べてしまいましたが、柔らかくてジューシーで美味しかったです。塩と少しのオイルをかけて、素材の味そのものをいただきました。
まとめ
タラの芽、こごみ、コシアブラ。3種類の山菜はどれも違うおいしさがあり、届いた時から食べ終わるまで、ずっとワクワクしていました。長年敬遠していた下処理の面倒くささは一切なく、こんなに簡単だったのか、と眼からウロコ状態です。山菜の楽しさを教えてくれた信州なかの北原農園さんに感謝っ。
山の恵みの楽しさを知ると、他の山菜も食べてみたくなってしまったし、山菜採りにも興味が出てきて…、なんだか世界が広がっています。
山菜って、楽しい! 山菜ビギナーさんは、まずこの楽ちん3種類を試してみることをオススメします。めっちゃ楽しいですよ〜!
商品詳細
商品:信州山菜800g 3〜6種類
(その時期の採れたて山菜/タラの芽、コシアブラ、行者ニンニク、こごみ、山うど、根曲り筍、ふきのとうなど)
取り扱い時期:4月中旬〜6月下旬頃まで
販売価格:3,690円
販売者:信州なかの北原農園