【実食レビュー】北海道・音更が生んだ白い黄身のたまご「米艶」。いつものたまごと比べてわかった「おいしいたまご」の条件とは?
はるばる津軽海峡を越えて、埼玉県の我が家にたまごがやってきました。出発地は、北海道・音更にある竹内養鶏場。今や家から3分のコンビニでも手に入る時代に、わざわざお取り寄せしたいたまごとは…。
今回は、白いたまご「米艶」の実食レビューです。
▼こんな人に読んでほしい
- たまごがとっても好き
- なんとなくたまごを選んでいる
- たまごの違いがわからない
これを読めば、おいしいたまごの選び方がわかるようになり…ます!
おいしいたまごって、なんだろう
スーパーマーケットでは、S・M・Lのサイズ別に分かれていたり、特売で売られたりすることも多いたまご。品揃えがいいところだと、栄養強化したものや、平飼いなどの飼育状況にこだわったものなどバリエーションが増えます。
数種類のたまごが並ぶ商品棚を前にして、あなたはどんな基準でたまごを選んでいますか?
わたしは、なんとなくパッケージを見て、なんとなく良さそうという気分で買っていました。たまごはお値段も手頃で、普段の食卓に当たり前のように登場する食材だから、購入前にじっくり考えることのない「なんとなく買う商品」だったんだなぁと改めて思いました。
でも、たまごも生鮮食品だから、肉や魚や野菜と同じように「おいしい基準」があるはずですよね。おいしいたまごって、どうやって見分けたらいいのでしょう。
おいしさは「エサ」「環境」「鮮度」で変わる
まず、たまごの味に影響するのは、ニワトリのエサです。これはまず間違いありませんよね。たまごを生み出すニワトリの栄養源ですから。
それと、ニワトリの暮らす環境。ストレスがたまるような状況だと、いいパフォーマンスは発揮できません。食と環境がアウトプットに影響するって、なんだか、人間とおんなじですね。
最後に、鮮度。TKG(たまごかけごはん)にして、生でも食べるわけですから鮮度も影響します。
この3点で、「おいしいたまごって、何?」を調査しました!
<エサ>黄身の濃さは、おいしさのバロメータではなかった
これまで、たまごをパカっと割って濃い黄色が見えると、「わ、いいたまご」と反射的に思っていました。でも実際は、黄身の色は味や栄養価とは関係がありません。
色が濃いのはニワトリが黄色い餌を食べているから、というシンプルな理由。
わたしのように、黄身の色が濃いと栄養価が高いと思う人も多いみたいで、養鶏場のなかには「濃い黄色」に仕上げるために、餌に色素を混ぜているようなケースもあるそうです。(ガーン、知らないってコワい)
たまごの味や栄養価に影響するのは、エサの質です。
エサは、飼料業界から購入する配合飼料か、養鶏場が独自に配合する自家配合飼料のどちらかになります。前者ではアメリカやアルゼンチンから原料を輸入してくるそうですが、竹内養鶏場ではなんと、北海道産の作物をオリジナルブレンドでニワトリに与えています。
おぉ〜!!ニワトリのエサだけど、ちょっとおいしそうに聞こえる…。
▼一般的な配合飼料
日本の飼料産業 | 飼料産業をもっと知る | 協同組合 日本飼料工業会
▼竹内養鶏場のこだわりのエサ
www.kometuya.jp
ウェブサイトには、細かい配合や産地について、しっかり書かれています。エサの内容がパッケージに記載してある商品は見たことがありましたが、配合まで公開しているのは初めて見ました。まるで、腕を振るって料理を作る大家族の母のようです。
<環境>ストレスをかけない環境づくりが大切
ニワトリの住環境は、大きく分けると2つ。小屋の中か、外かです。外は、いわゆる放し飼いですが、日本ではレアケース。小屋の中にて、金属製のケージ内で育てるのが主流です。
環境を良い状態で保つには、一羽あたりのスペースを十分にとってあげるのが大切。ぎゅうぎゅうの満員電車みたいな状態では、ストレスたまるでしょうね。
ちなみに海外では、飼育環境の情報提供が充実しています。採卵日の印字はもちろんだし、パッケージのQRコードを読み取ると、一羽あたりの面積がその場でわかったりする商品もありました(誰かのブログで読んだのだけど、再検索ですぐに見つけられなかったので、発見次第、更新します)。
▼購入したパッケージにある農場名を打ち込むと飼育環境がわかるサイト
印字された農場名を入力すると、鶏の平飼い農場にVRでリモート訪問できる卵パック | 世界のソーシャルグッドなアイデアマガジン | IDEAS FOR GOOD
※海外はアニマルウェルフェア(動物福祉)の考えが主流で、ケージ飼いには反対派。日本の状況もグローバル化が進むと変わっていくかもしれないですね。
▼グローバルな状況も知っておきたい人はこちら
海外の状況 - save-niwatori ページ!
最近、問題になった鶏卵最大手の秋田フーズの記事。ニワトリたちの環境は劣悪です。“安いたまご”を支える裏側は、こんなふうになっていたとは…。
やましいことがある場合は、公開されないのが常でしょう。
▼参考記事
ニワトリの閉じ込め飼育続ける日本 採卵農場で女性従業員が見た“残酷”(47NEWS) - Yahoo!ニュース
一方、竹内養鶏場は、飼育環境をウェブサイトで公開しています。ケージ飼いを選択した理由も、現場の写真も、しっかり紹介。どんなできごとにも、良い面と悪い面の2つがセットであるものですが、できる範囲の中でベストを選んで改善していく、というスタイルは行動力があって、素敵です。
竹内養鶏場の「考慮した結果、ケージ飼いにしています」という誠実な姿勢から、たとえ世の中の状況が変わっても、臨機応変に対応しそうだな、と底力を感じました。
<鮮度>朝採れたまごを、北海道から直送で
たまごの賞味期限は、意外と長いです。
夏期(7~9月)が産卵後16日以内、春秋期(4~6月、10~11月)が産卵後25日以内、冬季(12~3月)が産卵後57日以内とされています。
▼参考資料
日本卵業協会
賞味期限は、「おいしく食べられる」と保証されている期間だから、「食べられる」という点で言えば、実はもっと長いです。
「市販の卵の賞味期限は、生で食べられる前提で設定されています。春や秋は、賞味期限が切れてから4日間、気温が10度以下と低い冬場であれば、賞味期限が切れてから36日間、生で食べられます。ただし、念のため、早めに加熱調理して食べることをお勧めします。」
▼参考情報
賞味期限切れ卵は生で何日食べられる?ニワトリが24時間かけて産んだ卵を賞味期限で容赦なく捨てる私たち(井出留美) - 個人 - Yahoo!ニュース
冬場だと、賞味期限までが57日で、そこから36日だから、約90日。3ヶ月も食べて大丈夫な期間がある!? ほんとか心配になるくらい、長いですね。
ただ、おいしいTKGを食べたいとなれば、鮮度はいい方がいいのです。なぜなら、時間が立つと、だんだんと白身が水っぽくなったり、粘土が薄くなったりするから。
その点、生産者から購入するメリットのひとつが、ダイレクトに届けてくれるということ。竹内養鶏場では、その日の朝の生みたてたまごを送ってくれます。
朝5時。
陽が差し込んで、だんだんと空が明け、一日が始まる。
コケーッと遠くで聞こえるニワトリの声。
ザッ、ザッ、ザッ。今日はどのくらい生んでくれたかしら、とお決まりのたまご予想をしながら芝を踏んで、小屋へ向かう。
「おはよう、ニワトリ諸君、今日の調子はどう?」
寮母のような気分で、全体を見渡すと…、あったあった。
まだ温もりのある生みたてたまご。
ニンマリしながら、朝の献立を考える。
はい〜、妄想モードに入りました。
自分でニワトリは育てられないですが、「朝どれたまご」というフレーズから、脳内だけで農場で朝を迎えました。
いつか、こんな生活をしてみたいです。
北海道音更の竹内養鶏場「米艶」とは
さてここまで、たまごのおいしさの3要素、「エサ」「環境」「鮮度」を確認してきました。竹内養鶏場はどれもバッチリ。こだわって養鶏していることが十分わかりました。
今回、実食したのは「米艶」というブランド。北海道産のお米をメインに食べているニワトリが生んだ、レモンイエローの黄身が特徴のたまごです。
ふくよかで、やわらかい甘み。なめらかで、きめ細かい舌ざわり
とのこと。
早速、食べてみましょう!
いざ、開封!
1パック10個入りです。今回は2パック届きました。
淡いベージュ色の殻です。
殻の色はトリの羽の色、と聞いたので、ウェブサイトをチェックしたところ、
本当におんなじ色でした。
殻を割ると…、ジャーン! わぁ、本当にレモンイエロー!
パステルカラーで、艶やかな、美しい黄身の色です。
そのまま食べてみました。
確かに説明にあったような、やわらかなおいしさ。じんわり染み入るような繊細なうまさです。
レシピ1「フワフワの白いスフレオムレツ」
白さを生かした料理を作りたいなぁ、そう思って、スフレに決めました。ちなみに、これまで作ったことはありません。
<レシピ>
・たまご 2個
・塩胡椒 少々
・バター 少々
1:卵黄と卵白に分けます。
2:卵白は泡立て器でツノが立つまで泡だてて、メレンゲを作ります。
3:メレンゲと卵黄を混ぜます。気泡を潰さないように、ざっくりと。
4:フライパンにバターを溶かして、生地を投入。
5:フタをして弱火で3分待ち、ゴムべらを使って半分に折ったら、完成!
初心者でもできました。なんとも簡単でした。
フワフワでおいしい〜。食感を食べる料理ですね。
いつもの目玉焼きや玉子焼きと同じ材料なのに、全く違う料理になるとは、たまごのポテンシャルは高いですね〜。
レシピ2「プルンプルンの白い台湾カステラ」
次も白い何かがいいなぁと模索した結果、「白い台湾カステラ」に決めました。参考レシピをアレンジして、砂糖は白い甘酒に変えます。
<レシピ>
・米油 大さじ2
・たまご 3個
・薄力粉 40g
・甘酒 大さじ6
▼参考にしたレシピ
パウンド型で台湾カステラのレシピ・作り方 | ふたりごはん
1:油を湯煎で60度くらいに温めたら、薄力粉を入れて混ぜる
2:卵黄と卵白を分けて、卵白はしっかりツノが立つまでメレンゲにする
3:卵黄のボウルにメレンゲをひとすくいだけ入れて、しっかり混ぜる。このとき気泡は潰してしまってOK!
4:残りのメレンゲに3を入れて、さっくり切るように混ぜる。この時は気泡を潰さないように。
5:生地を型に流しこんだら、ぬるま湯を2cmほど入れた耐熱仕様のバットに入れて、余熱で150度に温めたオーブンで30分焼く
30分後・・・
焼けました!
ベーキングパウダーを入れていないのに、こんもりと盛り上がっています。そして、こんがり。
中は、どうかな…
おぉ、白い!
ちなみに、いつものたまごで作った台湾カステラがこちらです。
全然、色が違いますね!
みてください〜、プルンプルンです。
>動画 プルンプルン
一切れにカットして、いただきます〜!
フワッフワで、シフォンみたいな口溶け。
甘酒を入れたので、甘さは控えめで、ほんのりお米の味もします。上品でおいしい。
ただ、ちょっと反省点がありました。真ん中を切ったら火の入りが甘かったです。甘酒にして水分量が増えたことが原因だと思うので、次回はレシピを調整したいと思います。
レシピ3「フランス式オープンサンド 半熟たまごのタルティーヌ」
たまごをそのままで味わってないことに気がつきまして、フランス式サンドのタルティーヌで味わうことにします。
<レシピ>
・たまご 1個
・カンパーニュのスライス 1枚
・葉物野菜 ひとつかみ
・生で食べられる油 大さじ1
・お酢 大さじ1
・塩 少々
・バター 少々
・粒マスタード 少々
1:お湯を沸騰させて、冷蔵庫から出したたまごをドボン。6分30秒茹でたら、冷水にドボン。
2:ボウルに油、お酢、塩を入れて、泡立て器で混ぜる。乳化してとろりとなったらドレッシングの完成。洗った葉物野菜を入れて、合える。
→サラダは和えると味が全体にまわっておいしいし、ドレッシングの量も少なくてすみます
3:カンパーニュをトースターで焼いて、バターと粒マスタードを塗る
4:お皿にカンパーニュ、サラダ、半分に切ったたまごを乗せたら、完成!
いつもはほうれん草とかサニーレタスで作りますが、今回は春なので、春キャベツにしました。色のアクセントに、玉ねぎとパプリカのスライスを乗せて、たまごを乗せて、完成!
むむむ!! めっちゃおいしい。
スフレもカステラもおいしかったですが、このゆでたまごが一番おいしいです。たまごの味が上品で、コクがあるけどすっきりしていて、後味がとてもおいしい。
いいたまごは、そのままで食べるのが一番おいしいんだなぁとしみじみ感じました。
おいしいたまごは、そのままがおいしい
半熟たまごの味が気に入ってからは、ほとんど茹でて食べました。おいしかった〜。
これは、そのままの味を楽しんでもらいたいたまごです。
ひとつ難点があるとすれば、養鶏場との距離。わたしが北海道に住んでいて、気軽に買える距離ならふだん使いしたいけれど、さすがに遠方だと毎回の郵送費もかかり、ちょっと厳しい。
だから、この手塩にかけたたまごはそのまま食べる用にして、料理で使うたまごは近くのスーパーで購入するという2パターンでの使い分けなら、ありです。
私の職場のキッチンでも、たまごは2種類仕入れていて、そのまま食べるものと、マヨネーズなど調味料の原料にするものとを使い分けています。塩や油をたくさん合わせるから、繊細な味を生かせないんですね。
素材の特徴に合わせて、自分のできる範囲でよりよく取り入れる。 料理上手って、そういうことなのかも、って今回の実食で思いました。
「おいしいたまご」ってなに? と密かに思っている方は、ぜひ竹内養鶏場の大事に育てられた米艶を一度食べてみてください。