プラハで詐欺にあったよ。
オペラ鑑賞のキラキラした記事とは一転、実は同じ日に、オペラのチケットを買う場所で、詐欺にあっておりました。
ヨヨヨ。
私のマヌケっぷりを、バクッと晒そうと思います。
あの日、オペラを鑑賞するチケットを買おうと、国民劇場のお隣にあるチケットオフィスの前で、朝方ウロウロしていた時のこと…。
旅行者っぽいアウトドア仕様の上着を着て、肌の色素が薄めでオレンジがかった髪したふっくらめの男性が話しかけてきました。
記憶を辿りながら、会話を再現すると…
<プラハ時間:朝8時>
彼「今からヨーロッパに帰らなきゃいけないんだ。でも、チェコのお金しか持っていない。両替したいけれども銀行がやっていないんだ」
私「(両替所は遠くの通りにあるけど英語で説明できないな…う〜ん、ここは)ごめん、英語があんまり話せないの」
彼「両替したいんだ。ユーロ持っていない?」
私「今は持っていないよ」
彼「どこからきたの?」
私「日本だよ」
彼「東京と大阪は知っているよ。僕はポーランドだ」
私「(力になれなくて)ごめんね」
彼「いいよ、気にしないで」
彼は諦めた様子で、少し私から離れました。
ここまではよかった。これで終わりだったならば…。
彼は再び、近づいてきました。
彼「大きいチェコのお金しか持っていないんだ。使いにくいから、こまかくしたい」
私「ユーロは持っていないよ」
彼「円は?」
(↑円の話が出てきたところで違和感を感じながらも、自分の違和感を信じられない私。おばか)
私「持っていないよ」
彼「困ったなー。じゃあ、チェコの1000コルナ は持っている?」
私「それは持っているよ」
で、1000コルナ と彼の持っている500コルナ風の2枚のお金を交換したのです。
私の解釈では「大きなお金は市内で使いにくいから崩してくれ」という流れなのに、渡されたのは500コルナ風のお札。きちんと考えれば、なぜ1000札を500札に両替するのだ? とわかるものの、その場では混乱しちゃってわからなくなり、疑うことをしませんでした。
わからなくなった時点で両替はストップするべきなのに「断れない症候群」が発症して流れに任せてしまったーーーーー。ここは、本当に猛省!
おそらく二人旅だったなら、冷静に考えられて「おかしくない?」と脳みそ回転できたと思うのですが、一人ぽっちでその状況になると、無意識のうちに、断ることに少し恐怖も感じたのだろうと思います(昔、スペインで殴られたことがあって、断ることに恐怖があるのかも…)。
…なんて言い訳してもだめ。
一人旅をするってことは、危険を自分で回避するってこと! 気を引き締めい!
その後、彼はさらに追加の1000コルナを要求してきました。
財布にはあったけれど、そこは持っていないとお断り。 すると、
彼「急いで飛行場に行かなければ。地下鉄の乗り口はどこ?」
私「(携帯のマップを開いて)ここだよ。あの道をまっすぐ」
彼「ありがとう、じゃあね」
この時は、だまされていると思っていない私は、困ってそうだから地下鉄まで案内してあげようかとすら思いました。
彼と別れた後によく見ると、交換したお札はチェコの500コルナ札ではありませんでした。書かれている文字が、チェコ語じゃない。読めないけどなんか、ロシア語のよう。
そこで検索をかけたらどうやら、
「ベルラーシルーブル」の500札だと判明。
私「は? 何これ? おい、このやろ」
と思って、彼の姿を探すも、もはや形もない。後の祭り。
あー、ムカつく、やられたーーーーー。
とりあえず、これ、日本円でいくらやねん。
と思って、検索をしてみたところ・・・
え? 5万円???
私が渡したチェコの1000コルナ は日本円で約5000円。
もらったベルラーシルーブル500×2枚は日本円で5万円???
なんと、10倍になったってこと?
路上FX???
結果的にめちゃ得した? なぜ? よくわからん。
けど、やったーーーーーーーー。
本当に困った小さな国の人を助けた結果、日本円で高額紙幣と交換した! と思った私。
一時的に、幸せな気分になりました。
しかし、改めて調べたところ、私がもらったのはベルラーシの旧通貨。
先ほどネット検索で5万円の価値が出たのは、ベルラーシの新通貨。
ベルラーシという国は2016年にデノミを行っており、旧通貨は価値がほぼなかったのです。
ベルラーシは、まずここ。
17世紀にロシア帝国の支配下に入るとベロルシア(ロシア語:Белоруссия ビラルースィヤ)と名付けられ、日本語でもこれを訳した白ロシアの名で長らく定着していた(この場合の「ロシア」は「ロシア」のことではなく「ルーシ」の意味)。ソ連崩壊直後の1991年9月15日に正式な国号をベラルーシ語を尊重した「ベラルーシ」に定め、各言語でもこの語を用いるように要請している。(Wikipediaより)
東欧のロシアに支配されていた過去のある小さな国でした。
そして、デノミとは「通貨の表記を変更する」経済政策のことです。
私は恥ずかしながら、知らなかった事象なので、この機会に調べてみました。
デノミ ネーションが起こるまで、です。
1)インフレが超進んで、モノの値段が超上がる
インフレとは、モノの値段が上がってお金の価値が下がることです。100円でリンゴ1個を買えていたのが、120円払って1個買うという状況です。ただ、企業の売上も上がりますから、収入も増えていきます。モノがたくさん売れるから、少しずつ値段が上がります。需要と供給のバランスが「需要>供給」の状態です。
このインフレが急激に起こることがあります。それは、国の財政が傾いて債務状況がやばいときです。財政がやばくなったらお金をすればいいじゃん!と子供のときに思ったことがありますが、そんな風に財政を立て直そうと国が大量に紙幣を発行すれば、「需要<供給」でお金が余る状況となり、お金の価値はどんどん下がっていきます。市場にたくさんお金が出回ると、モノの価値が高くなり、それまでリンゴ1個100円だったのが500円、1000円になるということが起こり得ます。結果、モノの値段はどんどん上がっていきます。
2)高額紙幣を発行する
リンゴ1個に1000円となれば、車を買ったり、家を買ったりするときにはもっと高額になります。高額紙幣を国が発行します。
3)貨幣の桁が多すぎで、使いにくい
桁の多いお金は取引しにくいです。スーパーに買い物にいくのに、鞄いっぱいの札束を持っていく、なんて現実的ではないですね。
4)ハイパーインフレを収縮するため、お金の桁を小さくするべく新貨幣を発行する
政府の経済政策で、お金の桁数をカットして、小さくすることをします。例えば、これまでの10000円の桁を2つ削除して100円をつくる。
ベルラーシは、2016年に「1万分の1」のデノミを実施しました。旧ベルラーシルーブルの50万ベラルーシ・ルーブルは、新貨幣だと5ベラルーシ・ルーブルになります。
5)旧貨幣と新貨幣を交換する
旧貨幣の10000円は新貨幣の100円と同じ価値にして、交換する。
はい、これがデノミネーションです。
つまり、私が交換したのは旧ベルラーシ・ルーブルであり、紙屑同然の紙幣ということ。
がーん。
当時はかなり悔しい思いをしましたが、デノミネーションについて教えてもらったと授業料と思うことにしました。
↓同様の詐欺に合っている人のブログも発見!
くれぐれもお気をつけください。