プラハにある世界一美しい図書室「ストラホフ修道院」へ
せっかくプラハ城まで来たなら、少し足を伸ばしてストラホフ修道院へ。
プラハ城の西側から歩いて10分くらいの場所にあります。
この門をくぐると正面に見える、白い建物は教会です。
ストラホフ修道院の図書室はその右隣の建物です(下の写真では木で隠れている)。
ストラホフ修道院図書室への入り口はこちら。
◆ストラホフ修道院(Strahov Monastery)
時間:9:00〜12:00/13:00〜17:00
定休日:無休
料金:大人120コルナ 、子供・学生60コルナ /カメラ撮影する場合は追加50コルナ
補足:日本語の説明文を貸してくれます
1階でチケットを購入して、階段を上がって図書室へ向かいます。
図書室の前にもスタッフがいて、その方にチケットを見せなくてはなりません。
撮影する場合は、チケットと撮影許可シールを交換し、スタッフさんから見えるところ(服やカバンなど)に貼っておきます。
ストラホフ修道院には「哲学の間」「神学の間」という二つの図書館があり、それが世界一美しいと評判なのです。ここは現在、民族文学博物館になっているために図書室だけでなく、そのほかの展示もあります。
閲覧できるフロアにたどり着くと、初めに目に入ってくるのは「哲学の間」です。
残念ながら中に入ることはできず、図書室の入り口から中を眺めるのみです。
地元の人だけは中に入れるようです。
「哲学の間」ができたのは1782年。後期バロック様式の装飾が施された二階建ての図書室です。ここには中世の歴史書が多くあり、他にも哲学、天文学、数学、言語学など様々なジャンルの本が42,000冊以上収められているそうです。
映画「007 カジノ・ロワイヤル」のロケ地にもなったことがあると。ほんとだ。
木製(クルミ材)の図書棚に本がたっぷり詰められて、窓から陽の光が差し込んで、うっとりする図書室です。ツヤツヤしていて、触りたい・・・。
天井にはびっしりとフレスコ画が描かれています。描かれているのは、西洋の科学とキリスト教の歴史をテーマにした「人類の精神史」だそうです。
もう一つの図書室は「神学の間」。哲学の間とはまた雰囲気が全然違いました。
「哲学の間」は二階建てなのもあって本棚の木の印象が強いのですが、「神学の間」は天井の存在感がすごいです。
「神学の間」ができたのは、「哲学の間」よりもずっと前の1679年。前期バロック様式です。こちらも半円形の天井にはフレスコ画がびっしり描いてあって、画の周りにはスタッコ細工という細工が施されています。(スタッコとは、壁装飾などに使われるしっくいのこと)
白い装飾、豪華です。滑らかすぎて、生クリームみたい。
ゴージャスなバースデーケーキのようです。(なんてこと、言っていいのだろうか)
真ん中には、地球儀や天球技が置かれていました。
本は、宗教関連のものが18,000冊以上収められているそうです。
図書室以外の展示も、本にまつわるものが多かったです。
ストラホフ修道院は、中に入れない図書室二つと小さめな展示だけで、30分もあれば見終わってしまいます。だから観光された方のなかには、「がっかり」と言う人もいますが、私は「本!」というテーマに基づいているここは、なかなか面白くて見に来てよかったなと思っています。
私が面白いなーと思った展示はこちら。
装丁も木。本を開くと中には、種や枝や葉っぱや年輪などが収まっている「樹の本」。「本」は紙の集合体だけど、「紙」はもともと木や草などの繊維からできるもの。
その木で、本を作ってみました、と。
この一冊の中に、一本の木の一生が詰まっているところは、「本」という道具が叡智を凝縮した素晴らしいものであることを示すようだし、本が本としてあり続けることができているのは「木」が支えてくれているからだし、文字として相手や次の世代に伝えることができたから人類は文化や文明を発展させてこれたわけだけど、本質的には「木と人」というか、「自然と生き物」は一心同体で切っても切れないんだよーん、というめっちゃ大事なことを訴えているような、そんな本。
木と本。「木」に一本足して「本」。な。
ポスターみたいな本。このベタ塗りのところは何でできてるんだろう…。
西洋で羊皮紙から紙へと移行するのは、印刷術が発明された15世紀よりもあと。ドイツのヨハネス・グーテンベルグさんが1445年までに活版印刷技術を生み出した頃、と。
だから9世紀に作られたこのベタ塗りの本は、羊皮紙でできていると。パピルスも流行ってたみたいだけど、乾いた土地じゃないとカビちゃうらしいから、これは羊皮紙かな。インクは没食子(もっしょくし)と言うブナ植物のコブを水で溶いたり、アラビアゴムにススなどを混ぜて作ったと。一色ではなくて、何色かあったんだね、すごい。
没食子インクは、鉄と塩と植物のタンニンを混ぜて作り、色は紫黒色だったらしい。とすると、この紫色は没食子インクかな。アラビアゴムのインクは、退色すると黄色や赤褐色になるらしい。
このページ、作られた頃は色が全然違ったのだろうな。
装丁がボコボコしている。すっげ、重そう。
活版技術が生まれる前だから、本は1文字ずつ手書きで書いていた時代。一冊がものすごく大切な芸術品みたいなものだっただろうなぁ。絵画や器のように。
で、こんなにつけちゃったのかな。ははは。
余白がある。
挿絵があったり、挿絵と文字列が揃っていたり、青と赤で強調する部分もあったりとレイアウトも美しい。
図解されとる。射手座か?
神学の間の天井ごとく、装飾がゴージャス。金箔がふんだんに使われとる。
絵のタッチやレイアウトが他と違う。上級者。
ヨーロッパの地図が女性で表現されとる。
中心にあるのは、ボヘミア。左胸がドイツ、右胸がスイス、右腕がイタリア。王冠にヒスパニア(スペインやポルトガル)があり、襟やスカートの模様が山脈。
「哲学の間」も本に登場していました。
あとは、こんな本も。デコり方が今風。
ストラホフ修道院は、敷地内にビアホールもあるので、見終わってビールを飲むと言う幸せも味わえます♪ ビアの話は別の記事にて。
【引用文献】地球の歩き方編集室『地球の歩き方A26 チェコ/ポーランド/スロヴァキア 2018〜2019年版』(ダイヤモンド社、2018年)