女ひとり旅◆プラハのおすすめごはん「ストラホフ修道院ビール醸造所」
ストラホフ修道院の敷地内にあるビールの醸造所「クラシュテルニ・ピヴォヴァル・ストラホフ」にきました。
修道院のはす向かいなので、すぐにわかります!
ストラホフ修道院の敷地内にある。13世紀から続く由緒ある醸造所をもち、ビール目当てに訪れる地元客も多い。修道院の聖人から名前を取ったビールSv. Norbertは3種類あり、400ml 65kc~。グラーシュ180Kcやポークカツレツ200Kcなど料理も評判。
ビール好きとしては、ここで作ったビールを飲めるということで、ホクホク♪
とっても楽しみです。
ストラホフ修道院の醸造所の歴史は古く、スタートしたのは1400年からだそうです。その時はこの場所にはなく、戦争で被害にあったり、醸造権を巡っていざこざしたり、醸造をストップしたり、醸造所は時代に翻弄されてきました。
1629年にこの場所に移された後も、戦争で壊されたり再建したりを繰り返し、2000年の大規模な再建を最後に、今のかたちに収まったそうです。
そもそも修道院でビールを作っている理由は、当時の生水がそのまま飲めるものではなかったために、水の代わりにビールを作ったことから始まる、と。アルコールは水よりも保存性も高いですもんね。ストラホフ修道院は男性の修道院。ここに集まった知恵のある男性たちが、安全な水分を確保して、命をつないでいったんですね。人間の工夫って、すげーーーーー。
ヨーロッパで今のようにビールを楽しむスタイルができたのは、近代文明が誕生した1700年頃だそう。だからやはり、最初はビールを楽しむのではなく、水の確保が主目的だったということだわ。
「チェコは水よりもビールが安い」というのは、そのような時代背景があるからなんでしょう、きっと。チェコ人にとって、ビールは飲み物として優先度の高いもの何だろうなぁ。税金を管理する役所の人も、ビールが好きなんでしょう。だったら、高くなんてしないよね。なんてな。
日本では、ビールは酒税法の税率が世界一高くって、自分で作っても法律違反になるわけです。ビール党には、生きにくい国でございます。
さて、気を取り直して。
入り口の門を通りすぎて敷地内へと進むと、両脇に建物があります。
左側がブルワリー、右側がレストラン。ブルワリーでもお料理はいただけます。私は一人で気軽に飲みたかったので、ブルワリーへ。
寒くて、一刻も早く、暖かい室内でグビッと飲みたかったのですが、繁盛店なので割と中には人がいて、店員さんに外で待ってて的なことを言われました(多分)。英語が早かったのと、店員さんに愛想がなくてぶっきらぼうだったので、ビビっていったん外に出ちゃいました(弱虫…)。
でもっ! 私はビールが好きなのである! 引き下がれないのである。
中から、少しお客さんが出てきたので、もう一度ブルワリーの中に入り、女性の店員さんをつかまえて、席を確保。
無事に着席することができました。
(席に着かなくても、カウンターで立ち飲みとかもできるようです)
メニューの左上にある「St.Norbert」の文字。このビールが自家製ビールです。
チェコの煮込み料理を食べたかったので、ペアリングのオススメに「Goulash(グラーシュ)」とあるアンバーラガーを選びました。
<ビールの豆知識>----------
ラガー:下面発酵したビールのカテゴリーのこと。低温でゆっくり発酵させることで、清澄で軽くてまろやかな味わいになる。他には上面発酵と野生発酵がある。
ホップ:ビールに苦みや香りをつける植物。入れることで防腐性も上がる。私の飲んだアンバーラガーに使われているホップは「Saaz(ザーツ)Hops」。苦みが爽やかで、香りのよりアロマホップの一種。 ピルスナータイプのビールに使われる。チェコのジョツテという街で収穫されるホップだけSaazと言える。
ABV:Alcohol by Volumeの略でアルコール度数。アンバーラガーのABVは、5.3%
IBU:ビールの苦みを表す単位。アンバーラガーのIBUは、35。数字が低いほうが苦くない。ピルスナーが25〜40IBUらしいので、このアンバーラガーは苦みは慣れ親しんだ苦み。
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公式サイトによると、ウィーンラガーとバイエルンのメルゼンというビールに、インスパイアされて作ったビールだそう。苦みはウィーンに近くて、色はメルゼンに近いと。
赤褐色の綺麗な色です。フィルターを通していないので、濁っています。そのために、飲みやすいけれども味わえるビールでした。 苦みはしっかり感じます。35IBUという数値の割には、苦みがあったのは、フィルターを通していないからなのかしら。
ごはんは「Svíčková na smetaně(スヴィーチコヴァ・ナ・スメタニェ)」を選びました。
牛肉に野菜とサワークリームのソースをかけた料理です。輪切りのレモンの上に、ベリーと泡だてた甘くない生クリームがのっています。チェコ名物の「クネドリーキ(茹でパン)」が付いてくるので、ソースをつけて食べます。
おおお。美味しい。
ぶっきらぼうだった店員のことも、許せます。
茹でパンは、もちもちしていて不思議な食べ物です。付け合わせだけど、蒸したじゃがいもよりももちもちしているし、ニョッキよりは軽め。豚の角煮を挟む花巻ってあるじゃないですか。あそこまでフカフカはしていないので、密度の詰まった甘くない花巻、みたいな感じです。美味しいです。
※メニューは公式サイトにのっています。
http://x3.xeleom.cz/download/menu.pdf
お店の中に釜があって、定期的に覗いていました。
なんのビールを作っているのかはわかりませんが、ここで醸造されているシーンを見ながら飲むのは、本当にビールが生活の近くにあるのだな、ということを感じられて楽しいです。
この工程で、ホップを入れるのでしょう。
ね。
「写真とっても良いですか?」といいたら、「お金をとるよ」と言われて、冗談であることはわかったのだけれど返す英語がわからずにまごまごしていたら「冗談さ」と言わせてしまった彼。ごめんね、でもわかってるよ。
◆クラシュテルニ・ピヴォヴァル・ストラホフ(Klášterní pivovar Strahov)
住所:Strahovské nádvoří 301 ,118 00 Prague 1
時間:10:00〜22:00
定休日:無休
予算:200コルナ 〜
カード:使用可ADJMV
【引用文献】地球の歩き方編集室『地球の歩き方A26 チェコ/ポーランド/スロヴァキア 2018〜2019年版』(ダイヤモンド社、2018年)
【参考文献】マイケル・ジャクソン著/巽かおり訳『世界のビール案内』(晶文社、1998年)