[ Yamabukiの食と旅と体の探究ブログ ]

ハロー。ここは「食と旅、ときどき病気」について語る30s女の小さな部屋です。素敵な食べもの、国内外の旅記、影響力のあった読書、肝臓まわりの体験記がブログのトピックです。うまい例えを言えたときにテンションが上がります。

ホンメモ『バカの壁(養老孟司)』

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バカの壁』という題名で、脳を知っている学者が本を出したら、

バカじゃなくなる方法が書いてあるのかな、とか、

自分はバカかな、それともバカじゃないのかな、とか、

どこからがバカで、どこからがバカじゃないのかな、とか、

誰でもこの本の内容を想像したくなるだろう。

だから、気になる人がたくさんいて、ベストセラーになったんだろう。

 

2006年時点で発行部数は416万部らしい。

日本の人口は1億二千万人だから、

約28人に一人は買って読んでいることになる。

みんな、バカが気になるんだね。

 

小学生から「バーカ、あーほ」の攻防戦を経験して、

みんな大人になるもんね。

 

わたしだって、そんな感じで、適当に買った。

この本。多分十年以上前に。

 

で、一回読んだ。

そして十年後、さっき読み終わった。

 

これは、全然感じ方が違うのね。

最初読んだ時のこと、全然覚えてないくらいなのに、

さっき読んだこの本は、バイブルとして手放したくなくなった。

 

そう思うに至ったのは、この十年の私が変化をして、

考え方や感じ方や捉え方が変わってきたからです。

 

まさに、第4章の

「万物流転、情報不変」

です。

 

この本は、本の中身は一切変わっていない。

ここにあり続けているだけ。

なのに、この本から得られた体験は違う。

それは、私という受け手が変化しているからだ。

 

このことを、とても明確にわかりやすく説明しているのが、

この『バカの壁』なのです。

 

印象に残っているフレーズをめも。

 

P60

「知るということは根本的にはガンの告知だ」ということでした。学生には、「君たちだってガンになることがある。ガンになって、治療法がなくて、あと半年の命だよと言われることがある。そうしたら、あそこで咲いている桜が違って見えるだろう」と話してみます。(中略)その桜が違って見えた段階で、去年まではどういう思いであの桜を見ていたか考えてみろ。多分、思い出せない。では、桜が変わったのか。そうではない。それは自分が変わったということに過ぎない。知るというのはそういうことなのです。知るということは、自分がガラッと変わることです。したがって、世界が全く変わって見えてしまう。それが昨日までと殆ど同じ世界でも。

 

私は、今会社を辞めようか迷っている。

その理由は、発酵や自然に気づき、暮らしが生きる基本であると思ったから。

そう気づいた今、迷って悩んで入るけれど、何も迷っていなかったあの頃には戻れない。戻りたくはない。

まさにその感覚を理解していて言葉にできなかった。

養老さんが言葉にしてくれ、

「そうか、私は、知ったのか」と理解することができた。

 

P61

論語』の「朝(あした)に道を聞かば、夕(ゆうべ)に

死すともなり」。道を聞くというのは、学問をして何かを知るということです。

(中略)

絶えず過去の自分というのは消されて、新しいものが生まれてきている。

 

孔子の教えは、そういうことなのかと。

読んでみようという気になりました。すげえ、孔子

紀元前479年に亡くなっているのに、この境地。

時間とともに人間は成長している訳ではないんだなと思う。

繰り返しているんだ。

 

P72

「おかしいじゃないか。リンゴはどれを見たって全部違う。なのに、どれを見たって全部違うリンゴを同じリンゴと言っている以上、そこにすべてのリンゴを包括するものがなきゃいけない」

この包括する概念を彼は「イデア」を定義したのです。

 

彼の名前はプラトン

養老孟司が知る限り、初めてイデアを定義した人。

リンゴはどれも個体差がある。赤い色の濃淡も、赤くないものも、形も、大きさも、香りも、全く同じものは二つない。でも、どれもリンゴだと私たちは判断する。

その想像する完璧なリンゴが、「イデアのリンゴ」。

目の前にあるのは「そのリンゴ」。

私は「その人間」であり、「イデアの人間」ではない。

ソシュールによるところの、「言葉が意味しているもの」が「イデアのリンゴ」で、「言葉によって意味されるもの」が「そのリンゴ」である。

「言葉が意味している人間と、言葉によって意味されている私」。

そう考えると、個体の名前は、とっても意味深いもの。

 

P109

アウシュビッツ強制収容所に主要されていた経験を持つV.E.フランクルという心理学者がいます。(中略)彼は、一貫して「人生の意味」について論じていました。そして、「意味は外部にある」と言っている。「自己実現」などと言いますが、自分が何かを実現する場所は外部にしか存在しない。より噛み砕いて言えば、人生の意味は自分だけで完結するものではなく、常に周囲の人、社会との関係から生まれる、ということです。とすれば、日常生活に置いて、意味を見出せる場はまさに共同体でしかない。

 

フランクルは、強制収容所といういつ殺されるかもわからない状況下で、「生きるとどういうことか」という意味について考えてきた。そして彼の人生の意味は「他人が人生の意味を考える手伝いをする」ということでした。

 

現在陣においては、「食うに困らない」に続く共通のテーマとして考えられるのは「環境問題」ではないでしょうか。環境のために自分は共同体、周りの人に何ができるか、ということもまた人生の意味であるはずなのです。  

P193

現代世界の3分の2が一元論者だということは、絶対に注意しなくてはいけない点です。(中略)バカの壁というのは、ある種、一元論に起因するという面があるわけです。バカにとっては、壁の内側だけが世界で、向こう側が見えない。向こう側が存在しているということすらわかっていなかったりする。 (中略)一元論の根本には、「自分は変わらない」という根拠のない思い込みがある。

 

本書の一番大事なところがここです。

バカの壁とは、壁の向こうが見えていないことである。

自分が、信じるものが、絶対正義だと思い込む一元論にある。

 

P196

この強さは、人間にとって食うことが前提で、それを握っているのは百姓だということに起因しています。(中略)基盤となるものを持たない人間はいかに弱いものか、ということの表れです。

 

 

P199

徳川家康は「人の人生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし」と言いました。(中略)一歩上がれば、それだけ遠くが見えるようになるけれども、一歩上がるのは容易じゃない。荷物を背負っているから。しかし身体は動かさないと見えない景色は絶対にある。

 

 

P202

人間であればこうだろう? という話、本書冒頭で述べた「常識」が、私は究極な不変性だと思っているのです。

 

私は、今から生き方を悩んでいる。

もう30代中盤です。下手するとアラフォーです。

子供もいない、彼氏もいない、もちろん結婚もしていないし、その予定もない。

 

1年前は不安で不安で仕方がありませんでした。

婚活アプリで年収800万以上を検索する毎日。

 

でも今は、その不安が押し寄せることがあまりない。

 

それは、自分が良いと思う暮らしを見つけたから。

その暮らしを確立できるか、どうやって生きて行くかはまだこれからだけど、

人間として「これがいい、だってこうだから」と言えるものが見つかった。

 

そしたら、結婚の定番ルートに乗ることの方が、

不安になったのです。

 

30年以上生きているのに、人生が自分ごとではなかった。

ようやく今、人生を自分ごととして握り始めた気がしている。

 

そりゃ、遅いんですよ、

恐ろしく遅い。もう、今さら何を言っているの?と、言われる年齢です。

 

でもね、「知る」ことができたことを、

まずは受け入れて喜ぶべきだと私は思うんです。

 

「知らない」まま死んで行くことだって考えられたけど、

こんなに1年前を変わった気持ちになれる境地に、

来ることができた巡り会いに感謝と敬意を払う。

 

今からできることをすればいい。

からしたいことをすればいい。

 

世界はバカばっかりで、私は壁に気づいたよ。

だから、一般論なんかクソで、

いろんなことやいろんな道があっていいじゃん。

 

って、そう言ってくれる本だった。

 

孟司さん。ありがとう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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